- 卒論の問題提起って…何?書き方を知りたい
- 卒業論文の問題提起ができない。いまいち方法がわからない
- 問題提起の例文を見たい
卒論の序論の要素のひとつに「問題提起」という部分があります。
この問題提起とは、卒業研究の目的を知らせる重要な部分ですが、うまく書きかたがわからない人もいるでしょう。
問題提起がうまくできていないと、卒論の目的がぶれてしまい、何を言いたいのか伝わらない卒業論文を書いてしまいかねません。
そこでこの記事では、問題提起の意味や役割、書き方とその例文について解説していきます。
問題提起の書き方が分からない、という悩みがこの記事で解決します。
問題提起とは
問題提起とはそもそもいったいなんなのでしょうか。
それについてまずは説明します。
問題提起を書く場所
卒論に限らず、論文というのは、次の3段構成になっています。
- 序論
- 本論
- 結論
問題提起が含まれるのは、このうち序論です。
さらに序論を分解すると、以下の通りです。
- 背景(先行研究)
- 問題提起
- 目的
- 検討方法
- 予告
この通り、問題提起は背景の次に書くのが自然です。
論文はテーマに関係なく、おおよそ上のような流れをとります。
問題提起の役割
問題提起の役割について解説していきます。
まず、先ほどの序論の各要素の役割を書くと以下の通りです。
- 背景・・・あなたの研究テーマに関する既存の研究や知見を紹介する
- 問題提起・・・あなたの研究テーマに関して、発生している学術的・社会的課題や、明らかにされていない事柄、議論の余地がある事柄を取り上げる
- 目的・・・提起した問題を受けて、あなたの研究で何を分析・調査・考察して、何の役に立つかを書く
- 検討方法・・・あなたの研究手法についての概要を書く。手法の新規性や視点の独自性などについて解説する
- 予告・・・あなたの卒論の各章で、何について書くかを事前に説明する
この通り、問題提起とは、「既存の研究の問題点や、明らかにされていないことを指摘して取り上げる(要するに、わかっていないこと)」という役割を持ちます。
例えば、以下のような構図になります。
コーヒー豆の研究だとしたら、
背景:おいしいコーヒー豆の品種はわかっている
問題提起:でも焙煎の仕方が確立されていない
目的:だから美味しい焙煎の方法を見つけます
アニメの研究だとしたら、
背景:日本のアニメは海外でも認知され始めている
問題提起:でも各国の日本のアニメの市場シェアははっきり調べられた例はない
目的:だから日本アニメの海外での市場シェアを明らかにします
文学の研究だとしたら、
背景:シェークスピアは哲学を持たないという見解が一般的であった
問題提起:ある文献によれば、シェークスピアが思想を明確に打ち出して活動していたことが示唆されている
目的:だからシェークスピアの作品に与えた思想について明らかにします
このように、テーマがなんであれ、このように背景→問題提起→目的という順で論を展開することで、自然な流れで研究の目的を伝えることができます。
この通り、問題提起とは、問題を浮き彫りにして、研究の目的を明確化する起点となるのです。
問題提起の書き方
問題提起を書くには、背景がちゃんと書けていないとなりません。
背景には何を書くかというと、「既にわかっていること」です。つまり先行研究や一般的事実などです。
背景では、この「既にわかってること」をどんどん積み上げます。
ジグソーパズルでピースをどんどん埋めていくような作業です。
しかし、ある程度まで進めると、足りないピースが見えてきます。
足りないピースとは、先行研究でカバーされていない、「まだわかっていないこと」です。
わかっている情報を集めて初めて、この足りないピース=問題が見えてきます。
それを取り上げることこそが問題提起です。
「何がわかっているのか」がわかっていないと、「何がわかっていないか」もわからないですよね?
ですから、問題提起が書けないというのなら、それは下調べ不足である可能性が高いです。
とにかくツッコミを入れるか、難癖をつける気持ちで参考文献を読み漁ってください。
また、「他の分野では?」「あの場合は?」と視野を広げながら読んでみてください。
すると、徐々に提起すべき問題が見えてきます。
問題提起が書けない場合は、無理に書こうとするのではなく、取り扱うテーマをちゃんと調べることが先決です。
文章力の問題ではなく、下調べの問題である可能性の方が高いです。
調べの結果、問題が見えてきたら、それを取り上げます。
問題提起を書く時のテンプレートは以下です。
- 「これまでは〜の研究がほとんどで、〇〇についてはこれまで不明であった」
- 「〜ということがわかっている。しかしながら〇〇という点については検討の余地がある」
- 「〜とされている。しかしながら〇〇について詳細に検討された例はない」
基本的に普通の論文はこの型に沿って書いているので、素直にこの型に沿って書きましょう。
問題提起の例文
ひとつ例文を載せます。
主要栄養素と心血管疾患や死亡との関連性については,これまでのデータのほとんどが栄養過剰の傾向にある欧州や北米の集団からのもので,他の集団にも当てはまるか不明であった.そこでカナダ・マックマスター大学の Mahshid Dehghan 氏らは,5 大陸 18 ヵ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証する大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)を行った.
出典:5大陸18カ国における脂質および炭水化物の摂取量と心臓血管疾患および死亡との関連性:前向きコホート研究
<http://himeji.jrc.or.jp/category/diagnosis/naika/kanzo/pdf/20170921.pdf>、アクセス日2019年11月28日.
赤字で示したところが問題提起部分です。
その直前が背景です。
先ほど紹介したテンプレに当てはまっていることがわかるでしょうか。
欧州や北米の集団に対しては関連性が研究されているけど、他の集団に対して当てはまるか不明だった。だから研究を行なった。
という流れになっています。
この通り、「わかっていること→わかっていないこと→これを明らかにします」という流れになるのが、背景・問題提起・目的の王道の流れです。
まとめ|問題提起ができないなら下調べが不足しているかも
今回は、卒論(卒業論文)の問題提起の書き方について解説しました。
- 問題提起は、序論の中に含まれ、背景の次に書かれる
- 問題提起は、背景ですでにわかっていることを受けて、わかっていないこと・より詳しい検討が必要なことを明らかにするように書く
- 問題提起ができない場合は、背景について下調べが足りないからかも
問題提起は、あなたの卒論の目的の焦点を合わせるために非常に大切な部分です。
おろそかにしないよう、しっかりと下調べをした上で、定番の書き方に沿って書きましょう。