卒論の書き方

卒論の参考文献の探し方

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この記事はこんな人におすすめ

  • 卒業論文の参考文献ってどうやって探したらいいんですか?ちゃんと教わらなかったのでわかりません…
  • いい感じの参考文献が見つからなくって…。大学図書館以外にも探す場所あるんですか?
  • インターネット上での学術論文とかの参考文献の集め方を知りたいです。どこのページでどんなワードで検索すればいいんでしょうか?

卒論を書く際に困るのが、「参考文献ってどこでどうやって探せばいいんだ?」という問題。

たいていの大学生は、これまで参考文献の探し方を教わっていないので、途方にくれてしまいます。

しかし、参考文献から根拠となるデータや事実を引用しなければ、しっかりとした信頼性のある論文を作成することはできません。

今回は、卒論を書く際に必須となる、参考文献の探し方について解説します。

参考文献になるもの

紙媒体ならなんでも参考文献として引用していいのかというと、そうではありません。

参考文献には、信頼性と入手可能性が大事です。

参考文献は、あなたの論文を読んでいる人が、「これって本当かな?」と思った時に、その主張の根拠を調べるために使うものです。ですから、信頼できない参考文献や、そもそも読者が手に入れられない参考文献の場合は、役に立たないのです。

その点から言うと、以下のような資料が、参考文献として適しています。

○参考文献に適しているもの

  • 学会や専門家が書いた書籍(ISBNが付与されている)
  • 学術雑誌に掲載された論文(ISSNが付与されている)
  • 新聞
  • 史料
  • 官公庁が発行した統計資料(WEBサイト可)

以下は、一応引用できますが、参考文献としてはいまひとつ信用に欠ける資料です。なるべく利用しないようにしましょう。

×参考文献としてはいまいちなのもの

  • 個人が書いた書籍
  • 学位論文(学士論文、修士論文、博士論文)
  • 個人、一般企業のWebサイト(ブログ、まとめ、ホームページ、Wikipedia)
    ※大企業やシンクタンクなどの専門機関であれば信頼できる場合あり)
  • 他人からのインタビュー

判断基準としては、

  • 刊行されている・・・書籍ならISBN、雑誌ならISSNが付与されている
  • アクセス可能・・・誰でも手続きを経れば入手・閲覧可能

この2点がクリアされているものが、参考文献として望ましいと言うことです。

次に、各文献の探し方を紹介します。

参考文献の探し方

先ほどの説明で、どんな媒体(情報ソース)から情報を得ればいいかがわかりましたね。

では、どこからどうやってそれらを探してくればいいか解説します。

所属大学の附属図書館

大学の図書館は、情報の宝庫です。しかも大抵、利用は無料です。以下のものが手に入る可能性が高いです。

大学図書館で手に入る参考文献

  • 書籍
  • 学術雑誌

蔵書検索で欲しい本や雑誌が存在するかパソコンから調べられるでしょうから、まずは検索してお求めの本があるか探してみてください。まれに、書庫に入っていてちょっと見るのが面倒くさい書籍や雑誌もあるかもしれません。

利用方法は、大学によって異なります。自分の大学のホームページを見れば利用方法が書いてあるでしょうから、それを参考にして本を読みにいくなり、借りに行くなりしてください。

自分の研究や勉強のためのコピーは個人利用にあたるので問題ないのですが、コピーしていいのは半分までです。全部コピーしたら違法です。数百ページもある書籍を全コピーする人はそうそういないでしょうが、注意してください。

他大学の図書館

「自分の大学に書籍や雑誌がなかったらどうすればいいんですか?諦めなくてはいけないですか?」大丈夫です、他の大学の図書館に行きましょう。

他大学の図書館で手に入る参考文献

  • 書籍
  • 学術雑誌

大学によりますが、紹介状や、事前連絡が必要になる場合があります。具体的な方法については、あなたの大学の図書館の人に聞くか、目当ての大学に問い合わせればわかるはずです。大学によっては、申請の方法がホームページに書いてあるかもしれません。

面倒くさいと思うでしょうが、研究分野がマニアックなほど、資料は見つけにくくなり、自分の大学には資料がないケースが増えます。観念してあちこち巡ってください。

これが、卒論に時間がかかる理由です。

自治体の図書館

自治体の図書館を利用するという手もあります。

自治体の図書館で手に入る参考文献

  • 書籍
  • 新聞
  • 史料

専門性が高い書籍はあまり置いていないかもしれませんが、意外と自分が求めている書籍が見つかる場合があります。たいてい、事前登録は必要ではないので利用しやすいはずです。

借りる場合はその自治体に住所がないと不可の場合もあるので注意してください。

国立国会図書館

日本のありとあらゆる資料が保管されている図書館です。昔の史料や、新聞などを探す場合は、ここを使うことになるでしょう。

国立国会図書館で手に入る参考文献

  • 書籍
  • 学術雑誌
  • 新聞
  • 史料
  • 官公庁が発行した統計資料

利用については、登録利用者カードを作らないといけません。利用者登録をしないで当日利用カードを作って入館することもできます。入館にあたり持ち物が制限されます。筆記用具、貴重品などは透明の袋に入れ、他のものはコインロッカーに入れることになります。

貴重な資料が保管されていますので、利用上のルールはちゃんと守って利用しましょう。

ちなみに国立国会図書館サーチというサービスで、国立国会図書館や、その他の図書館、公文書館などを横断検索することができます。

国立公文書館

国立公文書館は、条約、宣言、外交文書、政府関係者の報告書や伝達メモなどの歴史的史料を保管する施設です。

国立公文書館で手に入る参考文献

  • 新聞
  • 史料
  • 官公庁が発行した統計資料

入館自体に手続きは必要ありませんが、閲覧室の利用は受付と身分証の提出が必要です。

歴史的に重要な史料が多く保管されています。歴史に関する研究をする場合は、相当お世話になると思われます。

本屋・Amazon

あまりに頻繁に使うことになる書籍なら、買ってしまった方がいい場合があります。毎度借りなくてもいいですし、付箋もマーカーもできるようになります。

本屋やAmazonで買うのもひとつの選択肢です。

本屋・Amazonなどで手に入る参考文献

  • 書籍
  • 学術雑誌(あまりない)

専門性が高いものでも意外と見つかります。ただし、専門書は高いので、財布と相談してください。

オンデマンド出版という「注文時のみ製本・出版する本」もあるので、そういう本は出版社に直接問い合わせになるかと思います。ただし、そういう書籍は残念ながら信頼性が低いので、使う際は要注意です。

研究室(指導教官や先輩)

たいていの研究室や、教官の部屋には、研究分野の書籍や学術誌がずらりと並んでいるはずです。それらを利用しない手はありません。何よりタダです。

真っ先に確認するといいでしょう。

研究室で手に入る参考文献

  • 書籍
  • 学術雑誌
  • 学位論文(引用には向かないので参考として)

先輩や指導教官に相談すれば、いくつか貸してくれると思います。

特に、指導教官はその道のプロなので、当然ながらあなたの研究分野については詳しいです。そんな指導教官から参考文献に関する情報をもらわない手はありません。

特に卒論のテーマを決める上では、もっとも力になるはずです。参考文献になりそうな書籍や論文に精通しているでしょうし、運が良ければ、指導教官から研究テーマをもらえることもあるでしょう。

ただ、自分が何も考えずに指導教官任せにするにはやめましょう。自分が考えてきたこと、調べたことをベースにして、一緒に考えるというスタンスで指導教官の手を借りましょう。

先輩についてはも、自分が勉強してきてわかりにくかったところなどを覚えているでしょうから、わかりくいことについても噛み砕いて説明してくれる可能性があります。(いい人なら)

研究分野の情報について一定の理解を深める上でも効果的です。

総務省統計局のホームページ

各府庁や独立行政法人がまとめているような、統計などの情報については、総務省統計局のホームページからアクセスできます。たとえば、景気統計は内閣府のページから見られますし、犯罪に関する統計なら警視庁から見られます。

総務省統計局のHPで手に入る参考文献

  • 官公庁が発行した統計資料

まぁでも、総務省統計局のページからたどるより、グーグルで「〇〇 統計」などと検索した方が早いかもしれません。

論文検索サービス

CiNii Articles』、『Google Scholar』、『IRDB(学術機関リポジトリデータベース)』や『学術機関データベースリポジトリ』という論文検索サイトを使えば、打ち込んだキーワードに関する論文を探すことが可能です。研究者の道を歩むなら相当お世話になるサービスです。

論文検索サービスで手に入る参考文献

  • 学術雑誌に掲載された論文
  • 学協会刊行物・大学研究紀要など

使い方は簡単です。検索窓にキーワードを入れるだけです。

たとえば、「心理学 マーケティング」というキーワードを入れてみると、それぞれ以下のように表示されます。

CiNii Articlesの場合

Cinii Articlesで検索した場合は以下の通り。関連著者が出てくるのが特徴。全文検索で本文に渡って検索対象を広げることもできます。

Cinii Articlesの検索結果

Google scholarの場合

Google scholarで検索した場合は以下の通り。Googleの検索画面にかなり近いです。発表された時期や関連性などでフィルタをかけられます。

Google scholarの検索結果

IRDB(学術機関リポジトリデータベース)

IRDBで検索した場合は以下の通り。保存されている機関(大学)へのリンクが出るのが特徴です。

IRDB(学術機関リポジトリデータベース)の検索結果

学術研究データベースリポジトリ

学術研究データベースリポジトリで検索した場合は以下の通り。タイトルの英数字をクリックすればPDFをダウンロードできます。

学術研究データベースレポジトリの検索結果

いずれも自分の狙った言葉で論文を探せるので、参考文献を探すには役に立つはずです。

大学のリポジトリ

大学によっては、卒業論文(学位論文)、修士論文、博士論文やその他資料がデータベース化されています。

その場合は、各大学や付属図書館のホームページや、リポジトリなどで見られる場合があります。在学生でないと見られない場合も多いですが、一般公開されているところもあるので、そういった場所で探すことが可能です。

大学のリポジトリで手に入る参考文献

  • 学術雑誌
  • 学位論文(引用には向かないので参考として)

例えば、以下の大学のデータベースで卒業生の論文を見ることができます。

学位論文はそのまま引用元としては適しないのですが、その論文が引用している参考文献を見ればあなたに役立つものが見つかる可能性が高いです。

Wikipedia・ブログ・専門サイト・質問サイトから探す

参考文献にはできませんが、知識を浅く広くつけるためにはWikipedia・ブログ・専門サイトが使えます。グーグルで検索するだけで見つかるのでアクセスも容易です。

Yahoo!知恵袋や教えてgooなどの質問サイトを利用するという手もあります。しかし、情報の正確性や信頼性には著しく欠けますのであくまで参考程度です。まず間違いなく卒論の参考文献には使えません。注意してください。

ただし、ブログやホームページ、ウィキペディアの記事の根拠となっている参考文献があるなら、それらをたどって参考文献を見つけられる可能性があります。

学会のホームページ

学会のホームページ自体は参考文献になりませんが、参考文献を探すのには使えます。

所属している研究者の論文のアブストラクトが掲載されている場合もあるので、学会のホームページは一度チェックしてみるといいでしょう。

そこから参考文献になりそうな論文を見つけられる可能性があります。専門分野の書籍も見つかることがあります。

協力企業の方など

研究によっては、他の企業の方の手を借りながら進める場合もあるでしょう。そうした協力してくれる人に聞いてみるのも手段のひとつです。

企業に勤めている方の情報は、生の情報なので貴重です。現場で今まさに抱えている問題がわかるからです。この情報は、書籍や新聞などでは絶対にわかりません。企業の方が抱えている問題点がそのまま研究テーマになる場合もあると思います。

企業の方に意見を聞く機会があれば、聞けることは聞き尽くしてください。

芋づる式で参考文献を見つける

「どこで学術誌(学術論文)を探せばいいかわかったけど、そもそも読むべき論文がよくわからない」という方もいるかもしれません。

その時は、研究分野のリーディングス(読本、文選、論集)、学会誌掲載の論文、書籍、学位論文の参考文献をたどって、芋づる式に参考文献を見つけていくという方法があります。

論文の最後や、書籍の最後って、参考文献が列挙してありますよね?それをたどっていけば、そこそこ網羅的にその分野の情報に触れることができるので、詳しくなれます。

加えて、参考文献としてのちのち卒論を書く際に使える論文がたくさん見つかります。ぜひとも実践して欲しいと思います。

各参考文献の特徴

これまで各参考文献の探し方について解説しましたが、それぞれの参考文献の特徴について解説します。

書籍

書籍は、ある分野に関しての「まとめ」です。網羅的に知識を得るのに役立ちます。また、専門家や学協会が書いているものは情報の信頼性も高いです。

まったく研究分野に関しての知識が不足している場合は、まずは書籍を読んで最低限の知識を身につけるのが効果的です。

ただ、マニアックなジャンルの場合、書籍がないか、手に入りにくい場合があります。また、専門性の高い分野ほど、あまり書籍が出版されませんので、情報が古くなりがちです。しかも、たいていけっこう高額です。

分野によっては30年前の本が最新だったりします。ですから、情報の新しさという点では他の情報ソースに劣る場合があります。

個人出版でISBNが付与されていないものや、専門家とは言い難い人が書いている本は参考文献としては適さないので、学協会が発行しているものでISBNが付与されているものが望ましいです。

学術雑誌(学術論文)

学術雑誌には、査読を経て掲載されている、信頼性の高い論文が掲載れています。専門性が高い上、新しい情報に触れられます。最新の研究に関しての情報を手に入れることができます。

ただし、基本的にその分野の専門家(研究者)に向けて書かれている「速報」という扱いですので、内容が難しい場合が多いです。素人向けに書かれていません。

正しく理解するには少し骨が折れるかもしれませんが、必須の情報源です。

Ciniiなどの論文検索サービスや図書館で手に入ります。

新聞・史料

過去の事件や出来事などについての研究であれば、事実を知る方法として新聞や当時の資料は役に立ちます。

例えば、「100年前のある地域の山林の管理状況」について調べようと思ったら、市区町村で管理している昔の資料を参考にするしか方法はないでしょう。

図書館や公文書館で入手することになります。

Webサイト

グーグルやヤフーで検索すれば、分野によっては専門のWebサイトが見つかります。Wikipediaや、企業のホームページ、趣味としてブログで情報発信しているような個人サイトもあります。

そのようなWebサイトは、素人向けに書かれているので、内容が理解しやすいです。

ただし、そこに書かれていることはほとんど誰のチェックも受けていないので、信頼性が低いです。全然知識がない状態での自分の勉強のためには効果的ですが、論文の参考文献には向いていません。

ただし、省庁や自治体、シンクタンクが発表しているような統計情報などのデータについては信頼性が高いので、そのようなデータは引用しても問題ありません。

まとめ|卒論の参考文献の探し方を把握して時間を無駄にしないように

今回は、卒論(卒業論文)を執筆する上で必須となる、参考文献の探し方について解説しました。

  • 参考文献に適している資料と適していない資料があるので、その区別をしっかりする
  • 参考文献は、図書館・公文書館・官公庁のホームページ・論文検索サービスで探せる
  • 参考文献を探すときは、文献の参考文献をたどっていくとおおもとの情報にたどり着ける

参考文献は「これぞ、欲しかったやつ!」というドンピシャなものに意外と出会えません。

参考文献が見つからずに無駄に時間が経過して、卒論提出まで期間がなくなるなんてこともありえます。

そんなことにならないように、ここで紹介した参考文献の探し方を参考にして、短期間で参考文献を集められるようにしましょう。


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