この記事はこんな人におすすめ
- 先行研究ってなんのために必要なの?先行研究を各箇所があるらしいけど何を書けばいいの?
- 先行研究ってどこでどう集めればいいんだ?全然見つからないので困っている
- 研究テーマが深まらず、先行研究とダブってしまう。自分らしい卒論を書くためにはどうしたら?
卒論には「先行研究」なるものの調査が必要ですが、そもそもその調査がなぜ必要なのでしょうか?
卒業研究において重要な要素となる先行研究ですが、それが一体なんなのか、なぜ重要なのかがよくわかっていない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、そんなあなたのために、卒論の「先行研究」に関する疑問をまとめました。
先行研究を調べる理由、先行研究の利用方法、先行研究の探し方について解説していきます。
先行研究を調べるのはダブリ防止と自分の研究の意義づけのため
そもそもなぜ先行研究を調べないといけないのでしょうか?
それは「自分の研究の独自性を明らかにするため」です。
あなたの卒論は、あなた独自のものでなければいけません。
つまり、オリジナリティが必要です。
では、オリジナリティはどう示せばいいのでしょうか?
「私の研究はオリジナリティが高いです!」とだけ言われても、言われた側としては「???・・・どこがどんな風に?」となりますよね。
研究テーマについて、どこまで明らかになっていて、どこからは明らかになっていないのか?
それをはっきりさせない限り、あなたの研究の新しい部分の説明をしようがないですよね。
- 先行研究ではどこまで研究がされているのか
- 先行研究でもどこからわかっていないのか
- あなたの卒論はどの点に新しさがあるのか
これを説明して初めて、読者にあなたの研究の独自性が伝わることになります。
つまり、意義のある研究であることが説明できます。
独自性がない研究は、先行研究とただダブっているだけなので、研究としては不適当です。
そもそも自分の研究とかぶる研究がないかを調べるためにも先行研究の調査が必要なのです。
ちなみに、これが「はじめに」「序論」「緒言」で書く内容です。
書き方について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
たまに、
「卒論は、他人の研究を自分の言葉でまとめること」
という勘違いをしている人がいるのですが、明らかに間違いです。
それは卒業研究ではなくて読書感想文なので、もしそのような勘違いをしていた人は考えを切り替えましょう。
卒業研究の価値を高める先行研究の使い方5選
「先行研究を調べたら、どうしても先行研究とダブりそうで独自性をどう出せばいいかわからなくなった…」
という方もいるかもしれません。
そんな場合は、以下の方法で独自性が出せないか検討してください。
卒業研究の独自性を高めるための先行研究の使い方
- 先行研究では着手されていない調査・実験手法で研究を行う
例:Aという調査がすでに行われているがBという調査をすると違う結論が得られそうなのでやってみる - 先行研究の不十分な点を指摘して追加の研究を行う
例:先行研究では仮説でしかなかったので、実際にデータをとって確かめてみる - 先行研究の妥当性を批判して改善する
例:ある先行研究ではAという結論が得られているが、違う視点を持ち込むとAが正しいとは言えないので検証してみる - 先行研究で得られた知見を何かに応用してみる
例:先行研究で提唱されている経済モデルを使って、実際に経済活動をシミュレーションして実際との一致度を確かめてみる - 横展開してみる
例: Aという地域でXXという調査が行われているが、Bという地域ではやられてないようなのでやってみる
このように、視点をずらしてみることで先行研究をうまく使ってダブらない独自の研究テーマを生み出すことが可能になります。
テーマが決まりそうだがいまひとつ独自性や具体性がないという場合は、上で紹介した方法のいずれかを当てはめてみるとアイデアが出ると思います。
先行研究(学術雑誌)の探し方と調べ方
先行研究は、いったいどうやって探せばいいのでしょうか?
先行研究を探す方法は大学の授業で習うもんですが、忘れているか聞いてなかったかの人がほとんどでしょう。
ということで、先行研究の探し方を解説します。
まず、先行研究は一般的に、学術雑誌(学会誌、学術ジャーナル)に学術論文として掲載されています。
普通の出版物と違って、本屋にはほとんど置いていません。
学術雑誌は以下の方法で見つけられます。
先行研究の探し方
- 大学図書館で探す
- 国立国会図書館で探す
- 研究室に保管されていないか探す
- 指導教官に聞く
- 論文掲載サイトを用いる(『CiNii Articles』、『Google Scholar』、『IRDB(学術機関リポジトリデータベース)』や『学術機関データベースリポジトリ』)
このような手段で先行研究などの資料を探すことができます。
先行研究だけではなく、史料や書籍などを探したい方は以下の記事を参考にしてください。
先行研究の引用の書き方とまとめ方
先行研究について言及するときは、引用することが必要となってきます。
引用は参考文献に書かれている内容を論文に載せる行為ですが、正しい載せ方であればパクリと違って推奨されます。
引用の仕方や、卒論の末尾への先行研究のまとめ方については以下の記事にまとめていますので参考にしてください。書き方の例に関してもまとめてあります。
先行研究が全くない場合はテーマ変更を検討せよ
探しても探しても、自分のテーマに関係する先行研究が一切見つからない場合は、テーマを変えた方がいいかもしれません。
というのも、先行研究が全くない場合、論文を書く難易度が上がるからです。
先行研究がないと、自分がなんらかの調査・実験を行っても、それを比較したり、考察する材料がないということになります。
つまり、論文として十分なボリュームを得るために、自分で調査・実験をそれだけ多くやらないといけなくなります。
自分で全ての材料を用意しないとならず、そのために労力も時間も多くかかります。
しかも、先行研究がないのは、もしかしたら「研究が困難である地雷テーマである」という可能性もあります。
提出締切まで残り少なくなってから「全然研究進まんわオワタ」という状況に陥りかねません。
ということで、よほど情熱がない限り、関連する先行研究が存在しないテーマを選ぶのは地雷をふむ可能性が高いので、避けた方が無難ではあります。
そのままコピペはバレるのでやめましょう
他の記事でも書いているのですが、コピペ(丸写し)やパクリは絶対にやめましょう。
バレれば留年の可能性があります。
学部生の卒論は、まだまだ知識も経験もないので、努力しても稚拙なものができてしまうのはある程度仕方ありません。
そこは大学側も理解しています。
しかし、コピペという違反行為に対しては、学校は厳しく対応せざるを得ません。
見逃せば大学の威信が地に落ちるからです。
もしコピペを強く疑われた場合、書き直しさせられればまだいい方で、悪質と判断されれば調査会を立ち上げてあなたを吊るし上げにかかるでしょう。
同様に代行もお勧めしません。
指導教官は、あなたの大学生のレベルを把握していますし、これまで腐る程レポートや論文を見てきています。
そのため、不自然な点にはよく気付きますから、素直に自分の力で論文を書いた方が安全です。
先行研究の数はどれくらい?決まりはないが…
「俺の卒論、先行研究少ない…?」
先行研究の数はいったいいくつくらいが妥当なのでしょうか?
ぶっちゃけ、決まりはありません。
いくつだから少ない、いくつだから多いという基準はないのです。
しかし、一般的には1、2本では不十分でしょう。
逆に、多い分には問題ありませんが、不必要な引用は控えましょう。
本来、序論や考察を書くために先行研究を自然と引用していればそれなりの数には達するはずです。
それでも「目安が知りたい」という方は、先輩の卒論を見て参考にするといいでしょう。
もちろん、参考程度でそれにそろえる義務は一切ありませんが。
数は気にせずに論文を書き進めてください。先行研究の数は成り行きで構いません。
成り行きで書いた結果、「先行研究が1、2個しかない」という結果になれば、それはたぶん論文の書き方がそもそも間違っています。
いったん以下の記事(序論の書き方、考察の書き方)を参考にして、先行研究(参考文献)の使い方を把握してください。
まとめ|先行研究の探し方と使い方を理解して卒論の質を高めよう
今回は、卒論の先行研究に関して記事を書きました。
- 先行研究は自分の研究が誰かとダブっておらず独自のものであることを証明するために必要
- 先行研究をうまく利用することで、自分の研究が独自性があり価値のある研究になる
- 先行研究の探し方にはいくつか方法があるのでまずはその方法たちを理解しましょう
先行研究は、卒論を書く上で欠かせないものですが、得体が知れないものと思っていた方もいると思います。
この記事の内容を参考にして、ぜひいい卒論を書くための先行研究の活かし方をつかんでください。