- 経営学部なんだけど卒論をそろそろ書かないといけない。でも、何をテーマに書けばいいかよくわかんない…誰かいいテーマの例教えて!
- ゼミの指導教員にテーマの仮案を出したら「広すぎ。もっと狭めろ」「問題意識を持て」「具体的に」とか言われたんだけど何をどうしたら??
- 経営の研究って言ったって、研究し尽くされてるんじゃないの?学生の私がなんか経営学に関していまさらできることってあるの?
経営学部や商学部、その他経営に関係する学科に所属していて、卒業論文を書きはじめようと思っても、なかなかテーマが決まらないという方は多いものです。
ゼミに何回か出ているものの、はっきりと卒業研究のテーマが決まらず焦っている学生もいるのではないでしょうか。
しかし、本来、経営学の研究テーマは、めちゃくちゃ探しやすいです。むしろ絞るのが大変です。
「えっ、そんなことないでしょ」と思うかもしれませんが、それは、テーマに「気づいていないだけ」です。
テーマの探し方をちゃんと理解すれば自ずといくらでもテーマの候補が見つけられます。
この記事では、あなたがさくっと自分の納得のいく研究テーマを見つける方法についてお話ししていきます。
目次
経営学部(商学部)の卒論テーマの例
まず、経営学部(商学部)の卒論のテーマ例を見てみましょう。
デジタル社会における文房具業界の現状と戦略
出典:卒業論文最優秀賞・優秀賞が決定〜優秀賞を受賞した学生のコメントを掲載しました|経済経営学部|駿河台大学
ハローキティのブランド戦略
ダイバーシティ経営が企業業績に与える影響
保育園における若手従業員に対する動機づけと上役のリーダーシップ
パナソニックの財務諸表分析―構造改革費用に要点をあてて―出典:学びをまとめる(4回生) | 小集団教育と4年間の学び | 教育内容 | 経営学部 | 立命館大学
日本の産学官連携に関する一考察 -国立大学における大学発ベンチャー増加への取り組み-
高齢者と若年者の交流による地域活性化に関する研究 ~栃木県那須地域を例に~
JR東日本の公共性と収益性
いくつかタイトルだけご紹介しました。
一応私の視点で、「良さそうだな」と思った論文タイトルをご紹介しています。(読んでいませんけど)
どんな視点で選んだかというと、
「具体的かどうか」
です。
ここで紹介した論文は、研究対象をしっかりと絞っています。
例えば、「文房具業界」「ハローキティのブランド戦略」「保育園のリーダーシップ」「地域活性化(栃木県の事例)」「JR」など、対象を絞り込んでいますよね。
経営学部の卒論テーマを決めるには、この具体性が重要です。
経営学部の卒論テーマは具体性が重要
経営学部の卒論テーマを決める際は具体性が重要です(経営学部に限ったことでもないのですが)
というのも、具体的でないと話題があまりに広がりすぎて、結局何について研究を行えばいいのか迷子になりがちだからです。
例えば、「日本的経営について」というテーマにしたとします。これは、テーマが広すぎて、関わってくるものが膨大になります。
- 日本的経営の特徴
- 日本的経営の形成要因や時代背景
- 日本的経営のプラスの面とマイナスの面
- 日本的経営における採用活動の特徴
- 海外進出した企業のケース
- 日本的経営が人事に与える影響
などなど、無数に論点が拡大してしまいます。
この通り、具体性がないとなんの研究をすればいいかが定まりません。
さらに、この研究テーマは、イチバン大切なものが抜けています。それは、「問い(リサーチクエスチョン)」です。
問い(リサーチクエスチョン)をまず明確にせよ
問い(リサーチクエスチョン)がない論文は、論文とは言えません。この問い(リサーチクエスチョン)は論文の質を左右する非常に重要な要素です。
問い(リサーチクエスチョン)とは、「解決したい課題」のことであり、研究の出発点です。
そもそも研究とは、まず問いがあって、それを明らかにするものだからです。問いがなかったら、研究する動機がありませんよね。
問いがないと、何を目指して研究すればいいのかわかりません。
教員「この研究はなんのためのものですか?」
学生「いや、特に目的はないんですけど、卒論出さないといけないんで…」
教員「じゃ、この研究テーマって何をゴールにしているわけですか?」
学生「さぁ。研究していれば見えてくるんじゃないっスか?とりあえず行動あるのみっスよ!」
教員「…」
というヤバイ状況です。(たぶんこういう人多い)
まず、問いを見つけることが第一歩です。
身の回りの「課題」を探してみる
これまで経営学を勉強してきて興味を持った点、疑問を持った点などがあればそれがテーマのきっかけになります。
残念ながら無いようならば、身の回りのことから探してみましょう。
例えば、コンビニでアルバイトをしているなら、コンビニの経営に関して考えてもいいのです。
もちろん、「コンビニの経営に関して」というテーマだと広すぎるので、もっと細かくみていきます。
そこに存在する課題に目を向けてみましょう。
- 売れ残りがたくさん発生する
- 売れ残りは売らずに捨てられている
- なぜコンビニバイトには人が集まらないのか
- コンビニの食べ物は食品添加物まみれ
- コンビニが24時間営業を遵守させようとするのはなぜか
- セブンイレブンのホットコーヒー(セブンカフェ)がうまく行ったのはなぜか
細かくみていけば、この通りたくさんの経営課題や疑問があるのです。
この通り、課題を個別具体的に見ていけば、いくらでも研究テーマになりそうなことがあるのがわかるでしょうか。
これらを研究テーマとして発展させればいいのです。
特定の企業や地域に対象を絞る
特に経営学の場合は、特定の企業や地域に関して研究を行うのが無難ではあります。
なぜなら、特定の企業や組織に的を絞るだけで、新規性のある研究になりやすいですし、調査すべき事柄が限定されるからです。
「研究し尽くされてるんじゃないの?」と思ってしまうのは、対象を広くとらえすぎているからです。これだけ無数の企業や組織があるんですから、全部研究されているわけないですよね?
例えば研究対象が「コンビニ業界」だとテーマが広いので調査を行う対象が非常に多くなりがちな上、被りやすいです。
しかし、これを「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」など個別の企業に絞ると、基本的にはその企業について調べればよいのでやることが減ります。
しかも、被りにくく新規性が出しやすいのです。
理論研究など抽象的なテーマは、よっぽど優秀でないと難しいですし、時間もかかるのでおすすめしません。抽象的ではなく、なるべく具体的に、具体的に、と対象を絞り込んでいきましょう。
問い(リサーチクエスチョン)を評価する
さて、研究テーマになりそうなものが見つかったら、続いてそれを「研究テーマにしていいか」判断しましょう。
どういうことかというと、テーマの選び方を間違えると難しすぎて爆死するか、逆に簡単すぎて論文が受理されないかもしれないからです。
問い(リサーチクエスチョン)が見つかったら、次の3点について考えてみましょう。
- 資料が存在するか
- すでに研究されていないか
- 簡単すぎないか
資料がないと自分でデータを集める必要がありますので大変です。また、すでに全く同じことで研究されていたら自分が研究を行う必要がありません。1日2日で終わってしまうような簡単すぎるテーマだと、主査の先生に受理されないかもしれません。
そこで、「ちゃんと調査のための資料が存在して」「まったく同じ研究が存在せず」「適度な難易度の」テーマが望ましいのです。
仮説を立てる
問い(リサーチクエスチョン)が決められた時点で「テーマ決め」は完了ではありますが、どうやって研究をすすめていけばいいか、という点についてお話もしておきましょう。
問いがあれば、答えがあるわけですが、この答えを予め「決め打ち」します。
つまり、仮説を立てます。「この問題が発生しているのは、〇〇だからじゃないか?」と仮の答えを出すことです。
この仮説を検証することが、研究です。いったん立てた仮説が正しいかどうかを調べていくということです。問いがスタートならば、仮説は道筋です。
問いと仮説の両方がなければ、研究を進めることはできません。
例えば、「セブンイレブンの廃棄を減らすにはどうしたらいいか」という問いに対しては、
- そもそも廃棄が発生するのは品揃えの充実と見切り販売をさせないフランチャイズ本部の経営圧力によるものではないか
- フランチャイズ本部の経営方針を変えることで廃棄は減らすことができるのではないか
という仮説が立てられますよね。
これを本当に正しいかどうか、情報を集めて持論を展開する(検証する)ことが研究なのです。
この問い→仮説→検証の道筋さえ作れれば、あなたの研究は終わったも同然です。
逆に、いい問いが考えられたとしても、仮説がどうしても考え付かない場合はあなたにとってそのテーマは手に余るのかもしれません。指導教員の力を借りるか、他のテーマに切り替える方がいいかもしれません。
まとめ|経営学部の卒論はこう決める
今回は特に経営学部や商学部の方向けに、卒論のテーマの例や決め方を紹介しました。
- 経営学部の卒論テーマは身の回りにいくらでもある
- 対象を個別具体的に見て「問い(リサーチクエスチョン)」を立て、研究テーマとしてふさわしいか3つの視点で評価する
- 問いを立てたら仮説を立てて検証すれば研究になる
経営学部・商学部の方向けに解説をしましたが、ここで説明したことはどの学部であれ研究活動を行うのであれば役に立つと思います。
ぜひ参考にしてみてください。