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卒論発表会の原稿の構成&書き方【例文あり】中間発表でも使える

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この記事はこんな人におすすめ

  • 卒論発表会(中間発表)が迫ってきた!発表練習しないといけないけど原稿の作り方がわからない…
  • 「お前の発表、わかりにくい」と言われた。でも何を直せば?
  • 何をどうしゃべればいいかわかりません!卒業研究の発表とか苦手なんです、無理無理無理…。正直仮病で欠席したい!


卒論発表や中間発表、人前で話すのが苦手な大学生にはとことん嫌なイベントでしょう。中には「マジで欠席してぇ・・・」と思っている方も多いのではないでしょうか。

私も心底、苦手でした。

それまで、プレゼンなど人前で話す機会は全部失敗してきました。視聴者から失笑を買ったこともあります。

その度に、「人前でスピーチするなんて俺には向いてないよ…」と思ったものです。

しかし、指導教官から指導をしていただき、「正しい発表の方法」を学んでからは、卒論発表や中間発表は怖くなくなりました。

発表会ではかなりいい印象を与えることができ、発表会のあとの懇親会では、複数の教員からベタ褒めされるくらいでした。

ちゃんとしたやり方を学べば、あなたも卒論発表への恐怖がかなり少なくなりますし、他の学生や教員から一目置かれるようになります。

今回は、卒論の発表会での原稿の作り方について解説します。

※「いいから原稿の例を出せ!」という方はこちらから

伝わりやすい原稿を書く5つのコツ

あなたも「なにしゃべってるかわかんねぇ…」と思ってしまうような発表を見たことがあると思います。

それは、伝わるコツを完全に外してしまっているからです。

伝わりやすい原稿を書くには、次の5つのコツがあります。早速それを紹介します。

原稿の5つのコツ

  • 一文を極力短くする
  • 大きな話から小さな話に入る
  • 専門用語を不必要に使わない
  • 主語と述語と目的語をはっきりさせる
  • 書いたら添削してもらう

一文を極力短くする

文章でも一緒ですが、一文が長くなるほどわかりにくくなります。一文を短くしましょう。

かっこつけてもったいぶったり、難しそうな言葉を使うと、途端に視聴者は集中力がそこで途切れます。

例えば、

ダメな例「本研究では〇〇を対象として、△△という手法で調査を行い、そもそも本研究を行ったのは〜という目的があり、〜なので〜」

みたいに、「いつ区切るんだよ」とツッコミたくなる発表は、最悪です。

シンプルに「主語+述語」の単純な構文で短く文を区切りましょう。

さっきの例で言えば、

良い例「本研究では〇〇について検討しました。△△という手法を用いて調査を行いました。まず、研究の背景を説明します。■■は〜」

という感じで、不必要に文を繋げず簡潔に書くことです。

文章で書いたら「簡単すぎて幼稚じゃない?」と思ってしまうくらいで十分です。人間がスピーチを理解する力は意外と低いんです。どんどんレベル下げてください。

これだけで、伝わりやすさが全然違います。

大きな話から小さな話に入る

いきなり細かい話に入ると聴衆がついてこられません。聴衆の大半はあなたとは専門分野が違うのです。

抽象度の高い話から、具体的な話に徐々に移っていくように話しましょう。

ちょっとわかりにくいと思いますので、例を交えて説明しましょう。

例えば、ゲーム理論のうちの協力ゲームの提携型ゲームについて話す場合、いきなり「提携型ゲーム」の話をし始めると聞いている側はわけわからなくなります。

ゲーム理論とは〜です。
ゲーム理論には協力ゲームと非協力ゲームがあって、協力ゲームとは〜です。
協力ゲームの中には2つの表現形式があって、そのうちのひとつに提携型ゲームがあります。
提携型ゲームとは〜です。

と順を追って説明してはじめて、聴衆が話についてこられるようになります。

いきなり具体的な各論に入るのではなく、順を追って大きな話(抽象度が高い話)から小さな話(具体性が高い話)へ細かくしていくことがコツです。

これは卒論発表に限らず、人に説明する時の重要ポイントです。

専門用語を不必要に使わない

専門用語は、必要でなければ無理に使わない方がいいです。

発表の場合は専門用語の説明を聞き逃してしまうのと、以降の話がわからなくなってしまいますから。

そうならないように、必要でなければ専門用語は使わない方がいいです。

使う際は、スライドに都度説明を加えておき、説明を聞き逃した人でもわかるようにするのがおすすめです。

主語と述語と目的語をはっきりさせる

きっちりと、主語と述語を明確にしゃべりましょう

「誰が何をどうした」のかを、ちょっとくどくなってもいいのできちんと明確に伝えることです。

「本研究では〜という実験をした」「調査をした」という、自分がしたことについては「私は〜」といちいち言わなくていいですが、「他の誰か」や「モノ・データ」であればしっかりと主語・述語・目的語をしゃべりましょう。

緊張していたり、慣れていなかったりするとついつい主語と述語と目的語のいずれかがはっきりしないしゃべり方をしてしまいます。

また、1文が長いと、自分でも主語・述語・目的語の関係がわからなくなることがあります。そういった意味からも、1文を短くするのは大切です。

主語・述語・目的が明確で、シンプルな文を作るようにしましょう。

書いたら添削してもらう

ケンカを売っているわけではないのですが、あなたは残念ながら研究発表に関しては素人です。

いったん原稿を書いたら、必ず指導教官に添削してもらいましょう。

それによって、冗長な部分や不必要な部分、間違っている部分などが浮き彫りになり、間違いなく原稿のクオリティが上がります。

正直めんどうくさいとか、気が引けるとか思うのですが、必ず添削・指導をしてもらいましょう。

卒論発表の原稿の構成

では、原稿の構成について入っていきましょう。

卒論発表の原稿の構成は、基本的に以下です。卒論と一緒です。

原稿の構成

  1. 背景:先行研究と既存の知見
  2. 背景:問題提起
  3. 研究目的
  4. 研究方法
  5. 結果
  6. 考察
  7. 今後の課題
    ※最後に「まとめ」を入れる場合もあり

この構成通りに、順番にパーツを組み立てていけばいいのです。それぞれ見ていきましょう。

背景:先行研究と既存の知見

あなたの卒論のテーマに関して、これまでにわかっていること、先行研究、基礎知識などを噛み砕いて説明します。

自分の説明を理解してもらうための、基礎固め的な役割を持ちます。

よく使う言葉

  • 〜によれば〜ということがわかっています(先行研究事例を挙げるとき)
  • 一般的に〜と言われています(世間や業界で一般的に言われていることを挙げるとき)
  • 〜とは〜です(何かを説明するとき)

背景:問題提起

先行研究や既存の知見で明らかになっていないポイントや、疑問があるポイントについて言及していきます。

この問題提起がきちんと説明できれば、次の研究目的が納得のいくものになります。

よく使う言葉

  • しかしながら〜という点は明らかになっていません(先行研究の穴を指摘するとき)
  • 〜という点ではこれまで検討された例がないと思われます(あtらしい着眼点を持ち出すとき)
  • 〜についてはより詳しい調査が必要とされています(対象についてより詳しく調べる必要性を主張するとき)
  • 〜という仮説を立て、検証を行いました。(仮説検証を行うとき)

研究目的

先ほどの問題提起をうけて「この研究で何を明らかにしたいのか」を簡潔に述べるところです。

ここが伝わらないと台無しなので、しっかりと説明しましょう。

よく使う言葉

  • そこで、本研究は〜について検討しました。
  • 以上の背景から、本研究では〜について調査を行いました。
  • 本研究の目的は〜を示すことです。

研究方法

どのように調査・実験を行ったのかを具体的に説明するところです。

具体的に説明するといっても、発表時間は限られていますから、情報を取捨選択するのがポイントです。

よく使う言葉

  • 〜を用意し、〜という条件下で〜を行いました。(実験の条件を示す時)
  • 〜で〜について調査を行いました。(調査の場所や方法を示すとき)
  • 得られたデータを〜という方法で評価(分析)しました。(分析方法などを示す時)

結果

実験や調査によって得られた結果を示します。

箇条書きで示した後、個別に詳しく解説するとわかりやすい場合が多いです。

よく使う言葉

  • 〜という結果が得られました。(得られたデータを示すとき)
  • 〜の結果を示したのがこのグラフです。(データをまとめたグラフを示すとき)
  • 得られた結果を表に示します。(表でデータを示す時)

考察

結果と自分の分析から導き出される考察を示します。

自分の考えとその根拠を、論理的に述べることです。

また、解析などで数式などを使用する時は、それが何を意味して、何のために使うのかをしっかり説明することです。

ちゃんと聴衆が理解できるように道筋を示しながら自分の言いたいことを伝えましょう。

よく使う言葉

  • 〜であることが確かめられました。(何かを証明したとき)
  • 〜とは言えないことが明らかになりました。(何かを否定したとき)
  • 〜を〜の点から考察します。(考察の方向性を示すとき)
  • 〜である可能性があります。(断定できないけど、可能性を示すとき)

今後の課題

あなたの研究ではカバーしきれなかった部分、明らかにできなかった部分、今後自分で研究していく部分について端的に説明します。

なぜそれが重要かという理由も説明できるのがいいです。

ただし、ここについてはくどくど説明してもあまり意味がないので、簡潔で構いません。

よく使う言葉

  • 〜についてはより詳しい検討が必要です。(カバーできていない問題について述べるとき)
  • 今後は〜について検討していこうと考えています。(今後自分で研究を進める対象について述べます)
  • 〜については本研究では取り扱いませんでしたが、〜のためには調査が必要かと思われます。(やらなかったけど、誰かやってね、と丸投げするとき)

原稿の例文

それでは、原稿の例文をここで紹介します。

かなり簡潔にしているので、ポイントや流れを理解するのに参考にしてください。

例:男児の育児休業取得を促進する企業の活動:イクメン企業アワード受賞企業の事例分析(掲載ページ

出典:経済経営研究 | 首都大学東京 経済経営学部・経営学研究科

この研究を例にして、原稿を勝手に作ってみました。内容がどうこうのつっこむんじゃなくて、どんな風に発表すればいいのか、というところに着目してください。

あまり具体的に書くとなんか言われそうなので、ところどころぼかします。(特に結果)

〇〇専攻〇〇研究室の〇〇と申します。よろしくお願いします。

私は、イクメン企業アワードを受賞企業を分析することにより、男児の育児休業取得を促進する企業の活動の実態を明らかにすることを本研究で試みました。→まず研究目的を一言で

まず、本研究を行うこととした背景を説明します。

イクメンという言葉が一般に認知されるようになってきたように、近年、日本でも男性の育児参加が徐々に注目されてきました。→以下、先行研究と既存の知見が続く

先行研究によれば、2010年からイクメンブームが広まってきたとされています。

きっかけは、当時の厚生大臣である長妻昭氏が「イクメン、カジメンという言葉をはやらせたい」と国会で発言したことです。

それをきっかけに厚労省を中心にして「イクメン・プロジェクト」が立ち上がり、「イクメン」という言葉が流行りだしました。

こうして男性の育児参加が世間的に注目されるようになりました。

しかしながら、内閣府の資料によれば、他国と比較すると日本の育児参加の時間は未だ少ない水準にあります。(スライドでデータ示す)

2015年時点での男性の育児休業の取得率は、いまだに2.3%です。女性は88.6%ですから、大きな開きがあります。(スライドでデータ示す)

さらに、男性の場合1ヶ月未満の取得が75.5%であり、期間も短いのが現状です。(スライドでデータ示す)

男性の育児休業の取得を妨げてきたのは、主にこの6つの要因です。

男性の育児意識の低さ、上司や同僚の理解のなさ、代替要員確保の困難さ、家計のへの圧迫、育児休業制度のミスマッチ、妻の意向です。(スライドで箇条書き)

こうした要因が、夫の育児休業取得を妨げているとされています。

一方で、育児参加を促進する職場環境要因の関係についても調査が行われています。

育児参加を促進する職場環境要因は次の6つです。

通勤・労働時間の短さ、深夜勤務がない、年次有給休暇日数が多い、始業・終業時刻が自由、仕事上のストレスの少なさ、職場での自主性の許容という要因が、男性の育児参加を促進することがわかっています。(スライドで箇条書き)

企業側の対策としては、育児休暇の取得率向上には、育児休業の取得を妨げている要因を取り除き、育児参加を促進する職場環境要因を整備していくことが必要となります。

しかしながら、これらの問題を企業がどう理解し、男性の育児参加や育児休業の取得率の向上に向けてどのような活動をしているかについては定かではありません。→問題提起

そこで本研究では、イクメン企業アワードを取得した企業の活動を調査することにより、活動内容とその成果を確認することを試みました。→研究の目的

調査方法について説明いたします。→以下、研究方法

まず、分析対象として〇〇社、〇〇社、株式会社〇〇、株式会社〇〇の4社を選びました。

これらの広報に対して、半構造化インタビューにより、ヒアリング調査を行いました。

また、新聞記事や雑誌記事を用いて、インタビュー内容の妥当性の確認を行いました。

調査結果について示します。→以下、結果

男性の育児休業取得率向上のための制度の導入背景としては、各社とも〜ということがわかりました。

導入の内容としては〜という点が共通していました。

いずれの企業でも〜という部分が重要だと認識されており、〇〇社では〜という対策をしていました。〇〇社では〜。

業種間や部門間での違いについては〜ということがわかりました。それについては〇〇社では〜という対策をとっており、〜という成果が得られています。

結果を整理すると、次のようになります。

まず、育児休業取得の制約理由について、調査対象の企業の対策をまとめます。

男性の育児意識の低さは、ポスターの設置、シンポジウムなどの啓発活動によって対策が行われています。
上司や同僚の理解のなさは、部下の出産状況に関するメール報告、シンポジウムなどの啓発活動によって対策が行われています。
代替要因確保の困難さについては事前の計画策定、チーム体制の充実、取得タイミングの調整によって対策が行われています。
家計への圧迫については有給期間の拡大によって対策が行われています。
育児休業制度のミスマッチについては制度の見直しによる対策。
妻の意向に対してはパートナーを含めた面談などの啓発活動によって対策が行われていることが明らかになりました。
(表で示す)

一方で、育児参加の促進理由である次の要員については、次のような取組がされています。

通勤・労働時間の短さについては、勤務先や部署の異動。
深夜勤務がないという点については、勤務先や部署の異動(特に小売業)という対策を。
年次有給休暇日数が多い、始業・終業時間が可変という点では、ワークライフバランスの見直しによって対策がされています。
(表で示す)

以上の通り、4社へのヒアリングにより、各社、男性の育児休業の取得率向上に向けて様々な活動を行っていることが明らかになりました。

このヒアリングから、男女平等を促進するダイバーシティの推進が、男性の育児休業取得の促進と関係があることが示唆されました。→以下、考察

すなわち、男女平等の促進に関わるダイバーシティが推進されなければ、男性の育児休業の取得率向上に向けた活動は進まないということになります。

これは、男性の育児支援を行う際には、ダイバーシティの推進やワークライフバランスの改善を行ってから、育児休業取得の試みを行った方が効果が上がる可能性があるということです。

逆に言えば、男性の育児休業の取得率向上は、ダイバーシティの推進やワークライフバランスの改善による副産物と解釈すべきという見方もできます。

したがって、男性の育児休業の取得率向上は、これらの諸活動の一環として現れるものと理解した上で、活動を行なっていく方が望ましいのではないかと考えられます。

今後は、男性の育児休業の取得率向上が企業の業績や人材の育成にどのような影響を与えるのか、より詳しい検討が必要です。→今後の課題

以上、本研究の発表を終わりにします。ご静聴ありがとうございました。

以上が原稿の例でした。

だいたいの流れはこれでなんとなくつかめるのではないでしょうか。

あとは、いったん原稿を書いてみて、指導教官に添削してもらったら練習あるのみです。

ストレスがめちゃかかる卒論発表会ですが、これでなんとか乗り切ってください!

まとめ|原稿はテンプレに沿って、わかりやすく平易な表現にしましょう

今回は、卒論発表のための原稿の書き方について解説をしました。

  • 原稿を書く際は、5つのコツを押さえましょう
  • 原稿の構成も、卒論の構成とだいたい一緒
  • 原稿の例文を作ったので参考にしてください。

卒論発表の原稿は、慣れていない分、どう書いたらいいかわからないものです。そこで、書き方については例やテンプレを参考にして、ポイントを押さえて手早く仕上げてしまいましょう!


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