この記事はこんな人におすすめ
- 卒論の背景の「動機」の書き方がわからない
- 動機を書いてみたらなんか小学生の作文みたいになった(わたしは〜と思った。わたしは〜と感じた。わたしは〜)
- 動機って言うから思ったことを素直に書いてみたら「書き直せ!」と怒られた。なぜ?
卒論の序論を書く際、研究の動機を書くように指導されたのではないでしょうか。
しかし、
「動機って言っても、このテーマで書くように言われただけだし…」
「別にあまり興味ないけどこのテーマならいけそうだと思ったんだよね」
「書けって言われたから書いてるくらいで動機なんて…」
みたいに思ってて、「ぶっちゃけ動機なんか特にない」という方もいるのではないでしょうか。
恥じることはありません。まぁそんなもんです。
そんな方でもそれっぽい動機が書けるようになる方法をここで紹介します。
もちろん、「真面目に卒論と取り組んでいて、テーマに対して情熱もあるけどうまく文章として動機にまとめられない」という方にも役にたつ内容です。
とりあえず、動機を書くところで手が止まっているなら続きを読んでください。
目次
「動機」っていう言葉がそもそも良くない
動機がうまく書けない場合は、まず卒論での動機が、一般的に使っている「動機」とはちょっと感覚が違うということを理解しましょう。
動機がうまく書けないと悩んでいる人の多くは、『動機』という言葉に踊らされている可能性が高いです。
卒論で言うところの動機は、日常的に使う動機とは若干意味が異なります。
『名探偵○ナン』とかの推理もので、「犯行の動機」みたいな形で「動機」という言葉に触れることが多くないですか?
「犯行の動機」という使われ方をした場合は、「犯行に至った感情的な理由」というのが動機の意味としてしっくりきます。
かなりパーソナル(個人的)で感情的なものです。
でも、論文やレポートの場合は違います。あまりパーソナルで感情的なものにしちゃだめなんです。
パーソナルにしすぎると、作文やエッセイになってしまいます。
実際に書いてみたあと、なんとなく「なんか論文ぽくないな」と感じるのはこのせいです。
逆に、卒論をはじめとする論文やレポートでは、動機をパーソナルな感じをなるべく消して書きます。これがポイントです。
論文の読者はあなたに興味がない
動機を書く際に、自分が感じたことやエピソードをてんこもりに書いてしまう人がいます。
これはダメな例です。
さっき言ったパーソナルすぎる論文ですね。
なんでこれがダメかって言うと、求められてないんですよ。
小説、漫画やエッセイとは違って、読者は99%論文の中身にしか興味がないんです。あなた自身やエピソードにはほぼ興味がないんですよね、残念ながら。
じゃあ、何を書けばいいかって言うと、
「客観的な事実をベースに、なぜその研究をする意義があるのかを書く」んです。
これだけだとピンとこないと思うので、例を出しましょう。
ダメな動機といい動機
母子家庭の経済状況についての研究テーマだとして、動機の書き方の例を出してみましょう。
まず、ダメな例から。
ダメな例その1
私の家庭は母子家庭だった。母はいつも朝早くから夜遅くまで仕事をしていた。外食に行った記憶はほとんどない。そんな母を、幼いながら心配していた。私が高校2年生になった時、経済的な事情を配慮して、私は進学ではなく、就職をしようと母に伝えた。母は、「しっかり進学しなさい。家のことは心配しなくていいから」と言ってくれた。これまで身を粉にして働いて貯めてきた貯金があったのだ。その甲斐あって、私は大学まで進学することができた。私はとても母に感謝している。さて、私はそのような背景から、母子家庭の経済事情はどうなっているのだろうかと考えるようになった。本研究では〜
イイハナシダナー何がダメかわかりますか?
研究に至った理由が個人的な感情なので、読んでいる側にはピンとこないんですよね。小説だったらいいんですが、これは論文です。
「そうか、大変だったんだね」とは、思えますが、「あなたにとっては大事な話かもしれないけど、そのテーマって社会的・学術的にどう重要なの?」と突っ込まれます。
ダメな例その2
本研究では、母子家庭の経済事情について考察する。このテーマにしたのは、指導教官から指定されたからだ。私個人は本テーマについては特に興味がなかったので、まずはどんな問題があるかを調べてみた。
論外ですね。
いやまぁ、事実かもしれないですよ。
でも、それそのまま聞かされて、読んでいる側としてなんか納得いくのか、ということですね。
実際、あなたはテーマに興味がなかったとしても、読んでいる側が納得いくように、なんかしら動機をでっち上げないといけないんです。
では、どういう風に書けばいいんでしょうか?
改善した例を出します。
いい例
厚生労働省によれば、1988年から2011年の25年間で、母子家庭は1.5倍に増加している。母子家庭が増えた背景として、離婚母子が25%、未婚の母が4%増加している。ひとり親家庭の経済状況を見ると、父子家庭が平均年収が360万円であるのに対して、母子家庭は181万円という約半分の低水準である。さらに、父子家庭の生活保護受給率が8.0%であるのに対して、母子家庭の生活保護受給率は1.8倍の14.4%である。この母子家庭の経済状況を見て、私は現行の母子家庭への経済支援が有効なのか疑問を感じるようになった。はたして、自治体が行なっている母子家庭の経済支援は有効なのだろうか。本研究では〜
さっきの例と違って、基本的に客観的事実でことの深刻さを説明していますよね。
「うちの家庭は貧乏だったんだよー。母子家庭は大変だよー」と言われるより、「母子家庭の約14%が生活保護なんだよ。母子家庭は大変だよ」と言われた方が理解しやすいですよね。
ちなみにこの例で挙げた数字は事実です。母子家庭って大変ですね…
まとめると、自分の感じたことを動機にするっていうより、「こういう点が客観的にみて問題なのでそれを研究しました」っていうスタンスで書くのがコツです。
動機(≒背景)が書けちゃう3ステップ
さっきの「例」のところで、客観的事実を元に書くってお話をしましたが、もう少し噛み砕いて説明しましょう。
問題→疑問→検討
という順で書くのが筋の通った動機を書くコツです。
さっきの例で言えば、
- 問題:母子家庭めっちゃ増えてる!しかも生活苦しい人多い
- 疑問:なんで?自治体は何してんの?
- 検討:よっしゃちょっと調べていいアイデア考えたるわ!
という構成になっているのがわかりますか?
この順で書けば、客観的事実から問題意識が生じて研究に至ったことが自然な流れで書けます。
困ったら、一旦分解してパーツごとに書いてみてください。
まとめ|動機は客観的に
今回は卒論の動機(≒背景)の書き方をご説明しました。
- 卒論をはじめとする論文の「動機」では、素直に思ったこと感じたことだけを書くと幼稚になる
- 動機には、他人が見て納得できる客観性が必要
- 問題→疑問→検討という順で考えるとわかりやすい
無理に動機って言葉を使わずに、背景としてまとめた方が書きやすいかもしれません。今回の記事を参考にして、すっきり納得のいく動機を書いてみてください。