- 卒論発表まであと1週間しかないが何から手をつけていいかわからない
- とにかく発表が苦手で、これまで失敗ばかり。何をどうして準備すればいい発表になるのかわからない
- 発表がわかりにくいとダメ出しされたが、何をどうすればいいかわからない
卒業のために避けては通れない試練、卒論発表会や中間発表会。(専攻によってはありませんが)
とても緊張しますよね。あなたも「なんとかやらないで済む方法はないものか」と思っているかもしれません。私もそう思っていました。
正直、嫌でしょうがないのではないでしょうか?
でも、「発表が苦手」と思えるのはいいことです。なぜなら、その感情があればこそ、いい発表ができるし、発表がうまくなれるからです。
中には場慣れしていて、あまり準備もせずになんとなく発表をこなせてしまう学生もいます。
しかし、彼らは不幸です。なんとなくできてしまうので、正しい発表の方法を学ぶことや、練習することことについてモチベーションがないからです。ですから、彼らはそれ以上、上達しません。
「発表苦手だなぁ…」という感情があればこそ、あなたはこの瞬間、卒論の発表の仕方を学ぶ価値があるのです。
社会人になれば、発表(プレゼンテーション)の機会には事欠きません。絶対に、苦手なまま逃げ続けられません。その度に神経をすり減らすよりは、ここで正しい方法をマスターして、発表の度に成果を出せるようになった方がよくないでしょうか?
さて、ここでは、短期間の準備で、クオリティの高い卒論発表をするための方法についてお話ししていきます。
※発表会の服装が気になる方はこちら↓
目次
卒論発表会のために準備するもの
もちろんですが、どれだけトークスキルがあったとしても、卒論発表は手ぶらじゃできません。卒論の発表会の際には、基本的に以下の資料を用意しておかないといけません。
- 要旨(レジュメ)
- スライド
- 原稿
それぞれ作成のコツがあります。作成方法について、後ほど詳しく解説していきます。
卒論発表会の準備のステップ
中には、卒論発表の準備をするために、いきなりパワーポイントを立ち上げてこねくり回す人がいますが、非効率です。
卒論の発表会の準備は、以下のステップを踏むことで効率的に進めることができます。
- 要旨(レジュメ)の原案を作る→指導教官と相談する
- スライドの原案を作る→指導教官に相談する
- スライドを8割、原稿を8割仕上げる→指導教官に相談する
- 要旨・スライド・原稿を仕上げる
- ひたすら発表練習をする
ちょいちょい指導教官への相談が入っていますね。
実は、この相談という作業が重要です。この相談をこまめにやっておけば、あなたの作業時間を短縮できますし、発表で失敗してボロクソ言われず済みます。
あなたはまだまだ研究発表に関して素人ですし、その研究分野についての理解もおそらく不十分です。
自分の頭だけで考えても、抜けや漏れや間違いが絶対に出ます。一生懸命準備してから、抜け漏れ間違いに気づいて修正するのは、多大な労力を必要とします。
例えば、一生懸命、凝ったスライドを1日がかりで作ってから、「いや、それ趣旨からずれてる、全然ダメだよ」とダメ出しされたら悲劇ですよね。1日無駄です。
このようなやり直し作業を「手戻り」と言います。特に製造業では、手戻りは生産効率を大きく下げるので、非常に嫌われます。仕事が遅い人は、この手戻りが多いです。
指導教官にこまめに相談しておけば、手戻りのリスクを減らせます。結局、面倒に見えて、実は効率的なのです。
それでは、各工程を順々に説明していきます。
要旨(レジュメ)の原案を作る
まずは要旨(レジュメ)の原案を作ることをお勧めします。
要旨の原案に先に取り掛かる理由
要旨は、あなたの研究内容を簡潔にまとめたものです。なぜ先にこれに取り掛かることをお勧めするかというと、「頭の中を整理できる」からです。
要旨はあなたの発表の設計書になります。一旦要旨を作ってしまえば、その話の流れ通りにスライドや原稿を作ればいいので、非常に作業がしやすくなります。
しかも、大抵の場合、印刷の関係で、卒論発表会の数日前に出さないといけません。締め切りの近いものから、先にやっておくことで、あなたのストレスが減ります。
要旨(レジュメ)の原案の作り方
要旨の話の流れは、「背景」「研究方法」「結果・考察」で書くと伝わりやすいでしょう。
それぞれのパーツで、「何を書くか」を箇条書きで考えます。
そして、それを手書きでいいのでA4用紙にまとめます。
原案なのでここで見栄えを意識しても時間の無駄です。
どうせここから修正が入ります。
例えば、以下の通りにまとめます。

このようにA4用紙1枚に簡単にまとめて、それを指導教官に共有して意見をアドバイスをもらいましょう。
指導教官にあらかじめこの原案を共有してアドバイスをもらうことで、抜け漏れや間違いに気づけます。
スライドの原案を作る
いきなりパワポを使ってスライドを作り始まってはいけません。
まずは、紙芝居のように、A4用紙に手書きでスライドの原案を作ります。
構成としては要旨の原案とだいたい同じになるはずです。
- タイトル
- 背景:先行研究と既存の知見
- 背景:問題提起
- 背景:研究目的
- 研究方法
- 結果
- 考察
- 今後の課題
この順序になると思います。
各パート1〜3枚になると思われます。例えば、タイトル1枚、先行研究と既存の知見で1枚、問題提起で1枚、研究目的で1枚、研究方法で2〜3枚、結果で1〜3枚、考察で1〜2枚、今後の課題で1枚のような感じになるかと思います。
最後の「ご静聴ありがとうございました」というスライドは要りません。質疑応答の時の邪魔です。
基本的に1スライド1メッセージです。スライドに言いたいことが2つも3つも盛り込まれていると、聞き手は混乱します。違う話は違うスライドで、が鉄則です。
スライド作成に慣れていない人は、ついついひとつのスライドに情報を盛り込んで、わかりにくくなってしまいます。
スライドの原案も、指導教官に共有してアドバイスをもらいましょう。原案なので見た目はアレでしょうが、あくまで構成としてのアドバイスをもらうためのなので十分です。もちろん、読める範囲で綺麗にまとめてくださいね笑
スライドを8割、原稿を8割仕上げる
スライドの原案のOKを指導教官からもらったら、いよいよパワーポイントでスライドを作り込んでいきましょう。
スライドの作成方法
スライドはいくつかのコツを抑えておくだけで、はるかに見栄えがよくなり洗練された感じになります。
わかりやすく見やすいスライドの作成方法については別の記事でまとめているのでそちらを参考にしてください。
原稿の作り方
原稿は絶対に作った方がいいです。
発表慣れしていないならなおさらです。演説上手で有名なアメリカのリンカーン大統領だって、原稿は作っていました。あなたが作らない道理はありません。
原稿作成のポイントとして以下に注意してください。
- 原稿の長さは、1スライド1分間くらいが目安
- 専門用語・略語は必ずちゃんと噛み砕いて解説
- 大事なことを絞り込んで説明する(全部説明するのは無理)
- 一文を短くする(長いとあなたにも聴き手にもいいことないです)
「そもそもどんな風に喋ったらいいかわからないよ〜」という方は、いい感じの動画を見つけてきましたので参考にしてみてください。
参考例:[五月祭] 優秀卒論発表会 浅田・池田研究室 加賀谷司
ちなみに、スティーブ・ジョブズのプレゼンやTEDのプレゼンが参考になると言われますが、プレゼン慣れしていない状態であれらを見ても「すげーなー」くらいにしか思えないと思うので、あんまりおすすめしません。
人から何かを学ぶ際は、自分よりも1、2歩先にいる人から学ぶのが最も効果的です。遠すぎると参考にできません。
原稿の書き方は以下の記事を参考にしてください。
指導教官にアドバイスをもらう
スライドと原稿が8割ほど作り終わったら、またまた指導教官に指示を仰ぎましょう。
※この場合の8割とは、「必要なスライドの全てが作成し終わっていて、あとは見栄えを良くしたり、わかりやすくしたりするために、アニメーションを入れたりする作業が残っている状態」くらいのイメージ。あるパート(考察など)をまだ作っていない、という状態のことではありません。
なんども聞いて気まずいかもしれませんが、あなたにとって卒論は重大イベントなのですから、しつこいくらいにアドバイスをもらっても全く恥ずかしいことではありません。
制作物はたいてい、0から8割作り上げるのと、8割を10割に持ってくるのは同じ時間がかかります。10割完璧に作り終わってからダメ出しをされるとダメージが大きいので、8割作った段階でダメ出しされておきましょう。
要旨・スライド・原稿を仕上げる
ここまで要旨、スライド、原稿をある程度形にして、指導教官にも複数回アドバイスを受けているからには、あなたは自分の研究内容について十分に理解できているはずです。
あとは、一気に完成形を仕上げるだけです。
要旨の仕上げ
要旨の仕上げは、原案に箇条書きとして書いていたものを、あとは文章としてつなげて、レイアウトを整えるだけです。
所属する専攻に応じて所定の書式があると思うので、必ず確認の上、それに沿った形でまとめあげてください。
書式を揃えないと、悪い意味で目立ちます(浮きます)。加えて、「どうせ発表もたいしたことないんだろーな」と思われるので手を抜かないようにしましょう。
スライドの仕上げ
より発表をわかりやすくするために、アニメーションをつけたり、オブジェクトの位置を揃えたりしましょう。
アニメーションは、派手なのをつけないほうがいいです。また、多すぎると鬱陶しいです。
研究の目的や結果、考察などの「ここぞ」というところで限定して使うのがミソです。濫用すると逆にどこが大事なポイントなのかわからなくなります。
ただ、発表準備のための時間は限られているのでほどほどにして凝りすぎないように。
原稿の仕上げ
原稿を実際に声に出したり、人に聞かせたりしてみて、わかりにくいところがないか確認しましょう。
ストップウォッチを見ながら、実際にどれくらい時間がかかるか確認して、原稿を微調整していってください。
ちなみにしゃべるスピードは、体感的にはかなりゆっくり目にしてください。NHKのアナウンサーのしゃべるスピードくらいがいいです。緊張しているほどついつい早く喋りがちなので、気をつけるようにしましょう。
ひたすら発表練習をする
すべての作成物が完了したら、あとはひたすら練習です。
「発表が苦手」「発表嫌だ、失敗したらどうしよう」とか考えている人のほとんどは、単純に練習不足です。他の人の5倍、10倍練習しておけば絶対に失敗しません。
私も人前に立つと緊張してわけわからんことしか喋れない、大のプレゼン下手でした。中間発表の1ヶ月くらい前は嫌で嫌でしょうがなくて、胃腸の調子がひたすら悪かったです。
しかし、中間発表では50回以上練習したので完璧な発表をすることができました。そのおかげで自信がつきましたので、そのあとに控えている卒論発表ではかなりストレスが減りました。
「自分は発表苦手」と思っていても、練習すればかなり良い発表が可能です。自分を信じて練習に没頭しましょう。
まとめ
今回は、卒論発表・中間発表の準備の仕方について解説しました。
要旨・スライド・原稿の準備の仕方について、ステップバイステップで説明しましたのでぜひ参考にしてください。
発表に苦手意識があっても、この通り進めれば短期間で高クオリティな発表ができるようになります。中間発表や卒論発表で優れた発表ができた時の経験は、あなたにとって自信になるので、今後の人生においてもいい影響を与えます。
頑張りましょう!